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狙われたPalm OS
2000.9.29 磯野康孝

今年に入ってから携帯情報端末の新製品が次々と登場してきている。いわゆるPDA(Personal Digital Assistance)と呼ばれているものだ。昔は、電子手帳が進化したヤツといった感じだったが、今ではノートパソコンに近い機能を有しているものもあるようである。

日本でPDAといえばシャープのザウルスだろう。実際、国内では独壇場といえるが、世界規模で見るとPalm OS搭載機が大きなシェアを持っている。このPalm OS陣営が、一挙に日本市場に攻勢を仕掛けてきているのだ。さらに7月には、マイクロソフトがPDA用OSとして新たにWindows CE3.0(PocketPc)を発表。日本ヒューレット・パッカードやカシオ計算機などが搭載機種を投入し始めている。こういった情勢を受けて、日本のPDA市場が激変しつつあるというわけだ。

そのような中、Palm OS上で動作するウィルスがいくつか登場した。まず、8月の下旬に「PALM_LIBERTY_A」が、つい最近の9月下旬には「PALM_PHAGE_A」「PALM_VAPOR_A」の2種類が相次いで発見されたのだ。「PALM_LIBERTY_A」と「PALM_PHAGE_A」はトロイの木馬といわれるもので、実行すると実行可能ファイルをすべて削除してしまう。また、「PALM_VAPOR_A」はファイル感染型ウィルスで、実行可能ファイルに上書き感染する。上書き感染なので、結果的に感染したファイルはすべて破壊され動作しなくなる。(ウィルスに関する情報はトレンドマイクロによる)

Palm OSについては、さまざまなアプリケーションやツールがユーザーの手によって開発され、Palm Wearなどといわれて流通しているのが特徴だ。これらはWebサイトなどで配布されることも多いという。こういった中にウィルスが紛れ込んでくる可能性は少なくないだろう。まさに、通常のPCと同じような危険に、Palm OS搭載のPDAが直面しているわけである。

PDA用のOSで大きなシェアを持っているということで、Windows同様、まさにPalm OSが狙われた感がある。ところが、この情報、ほとんどどこにも載っていない。もちろん、コンピュータ関連のニュースを扱うサイトなどでは、関連記事を見つけることはできる。しかし、一般ユーザーが目にするようなところではどうだろうか。筆者が知る限り、一般マスコミで目にしたことはないし、Web上のいくつかのポータルサイトでも見かけたことはなかった。何しろ筆者自身、ウィルス関連の記事を書いている最中に、ワクチンソフトメーカーのサイトで知ったのだから。

確かに、発見はされたが今のところ被害報告は出てきていないというから、それほど慌てる必要はないのかもしれない。PDAということで、Melissaやラブレターウィルスのような大掛かりなパニックが起こる可能性も低いだろう。しかし、何が起こるか分からないのも、今のインターネット事情ではないのか。

日本のPDA市場は、今年度、台数で前年度比41%増、金額では同48%増のという大幅に上昇した出荷が見込まれているという。このようなブレイクを前に、やはり、ウィルス騒ぎはマイナスイメージのはず。少々勘ぐってしまう。

それにしても、つくづく自己責任の世界なのだ。自ら知ろうとしなければ、本当に知りたい情報は手に入らないのである。

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1時間てこんなに早かったの?
2000.9.25 井上きよみ

シドニーオリンピック真っ盛り。コンマ1秒の争いが繰り広げられている。

かたや、オフィス内。私は最近、あらためて時間の短さを知ることとなった。「ああ、なんて1時間て早いのだろう」と。1時間ですらそうなのだから、コンマ1秒なんて、創造を絶する世界に違いない。

●目のストレッチ用ソフト

1時間の短さを再認識するきっかけとなったのは、近頃買ったソフト「ストレッチeye」だ。パソコン画面を利用して目の体操をすることで、目の疲れを取り、視力低下を防ごうというものだ。焦点を遠くに合わせることで画面が3Dとして見えるようになる。

以前にもこの手のフリーソフトを使ったことがあるが、いつの間にかやめてしまった。だが最近、眼精疲労なのか、しばしば頭痛に悩まされることがあり、パソコンショップでソフトを見かけ、半分衝動買いをしてしまった。

 

「1時間後に見る」ボタンを押しておく
「1時間後に見る」ボタンを押しておく

●1時間したらストレッチを

さっそくインストールし、使ってみた。右の画面で「今すぐ映像を見る」を押したら、スクリーンセーバーのような画面が表れ、数分後、またこの画面に戻る。そこで今度は「1時間後に見る」をクリックしておけば、タスクバーで待機し、そして1時間すると、ピコピコと点滅し、その時間が経過したことを教えてくれる。

ずっと昔から「VDT(Visual Display Terminal)作業では1時間に1度は目を休めるように」と言われているが、なかなか守るのは難しい。ついつい、何時間も作業を続けてしまう。

そんなこともあって、1時間ごとに起動するようにしたのだが、これによって私は1時間というスパンがいかに短いかを知ることになった。
執筆に集中していれば、あまり進んでいないにもかかわらず1時間がすぐにやって来る。そうでないときは、この1時間一体何をしていたんだ?と自問したくなるほど、何も進展せずに次の1時間がやって来る。
そして気づくと、目のストレッチばかりをやっているような気分になる。

●だからおすすめかも

その1時間について、自分のやったことが明確に見いだせないと、ただ時間だけが過ぎていったようで虚しさを覚える。そして、もっと集中してやれば、ずっと短い労働時間で済んでしまうのではないか、とも。もちろん長時間ずっと集中するのは難しいけど、時間の経過を意識すれば、少なくとも今よりは短時間で終わり、だらだら残業が減り、ひいてはゆとりができるのでは、と。

だから、皆さんの中でもコンピュータ作業をなんだかダラダラしているかもしれない、と内心感じている人には、このソフトはおすすめかもしれない。目のストレッチで眼精疲労が取れるならば、一石二鳥だ。

[ソフトの使用感] 使い始めて1週間ほどなので、目に効果があるかどうかはまだわからない。が、午前中は比較的楽に立体視(3Dとして見える)できるのだが、夕方以降は、それが難しくなる。それだけ、時間と共に目の疲れが進んでいることは、少なくとも実感できた。

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今どきのパソコンユーザーの話
2000.9.10 磯野康孝

先日、書籍の打ち合わせで出版社に行って来た。書く側(ライター)と書かせる側(編集者)が持てる情報を出し合い、時代のニーズを分析し、内容を練り上げていく・・、というような緊張感溢れる状況は微塵もない。打ち合わせといっても情報交換と雑談が主で、その中から企画の方向性やら大雑把な構成やらをひねり出すのだ。大枠が決まれば、後は持ち帰って構成案をまとめるということになる。筆者の場合、企画を持ち込んでいるわけではないので、こういう流れになるのだ。

筆者の得意分野は、一応インターネット関連ということになっている。今回も、コンテンツ作成に絡むスタイルシートに関する企画だったが、打ち合わせの間に、Webページ作成の基本であるHTML関連の書籍がいまだに好調だという話が出た。確かに、筆者の「HTMLタグリファレンス(蔵守伸一氏共著:ナツメ社)」も、1997年11月初版だというのにいまだに増刷通知が来ている。

正直なところ、HTML本の売り上げはそろそろ頭打ちではと筆者は考えていた。大手のISP(Internet Service Provider)では画面に答えていくだけである程度のWebページができてしまうサービスをやっているし、優秀なGUI(Graphical user Interface)環境を提供するHTMLエディタが何種類も市販されている。素のHTMLを扱う意味合いが薄れてきていると思っていたのだ。簡単といっても、とりあえず言語だし。もちろん、類書も増え過当競争になってきているという現況もある。それが、まだまだ好調だというのだ。

その編集者がいうところによると、書籍の購買層は50代を中心としたいわゆる熟年世代。リストラやデジタルデバイドの恐怖心も手伝ってか、この世代のパソコン購入率が高まっていることと密接に関係しているという。50代のおじさん達がパソコンを買うとHTML本が売れる・・のか?

編集の彼の解説によるとこうだ。今のパソコンは、インターネットを利用するためのツールとしてのイメージが強い。CMなどを見ると、メーカーサイドが意図的にそういったイメージを作り上げているのが分かるだろう。キーワードとなるインターネットは、今流行りのIT革命とダブって見える。

で、「IT革命⇒インターネット⇒パソコン」というつながりができるのだ。おじさん達はここに反応する。時流に置いていかれないよう「インターネットを見る」ために、おじさん達はパソコンを買うのである。そして、見飽きた後、「ホームページ」でも作ろうかということになるらしい。彼らは世代的には活字世代である。とりあえず、「ホームページの作り方」などといった本に手を伸ばす。「IT革命⇒インターネット⇒パソコン⇒HTML本」なるほど。

実は、ここに大きな落とし穴がある。彼らは、基本的なパソコン(というかOS)の使い方を知らないのだ。彼らにとってパソコンは、インターネットを見るための道具に過ぎない。ファイルも、アプリケーションも、フォルダも、どうでもいいことなのだ。出版社には、そんな「パソコンユーザー」から質問の電話がかかってくる。
「XXXファイルをコピーして・・。」
「うちにはコピー機なんかないぞ。」
「・・・・」

笑えない。小咄としても最低線である。しかも、彼らは腰を低くして教えを乞うということが、年齢的に苦手である。「教えて欲しい」ではなく「教えろ」なのだ。パソコンの世界も、インターネットの世界も、知識の習得には自助努力を求める。が、ニューカマーは、そんなことはおかまいなしだ。件の編集者は、「まずはWindowsの入門書から読めっていいたい。」といった後、「ま、でも、お客さんですからねぇ。」と苦笑混じりに付け加えた。

インターネットとパソコンを強く関連付けるメーカーサイドの戦略は、HTML本のマーケットを押し広げる効果をもたらしているようだ。このこと自体は筆者にとってうれしい限りではあるが、新たな「パソコンユーザー」の登場には少々困惑気味である。ただ、彼らの存在が、今後のパソコンの在り方、ひいてはインターネットをブラウズするための情報端末のあり様に、何らかの影響を与える可能性はなきにしもあらず、だ。今どきのパソコンユーザーがどうなるのか、デジタルデバイドの話も絡めてウォッチしていく価値はありそうである。

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