| タイトル | 中小企業のためのインターネット等の情報技術の活用事例 (3回連載) |
| 掲載誌 | 雑誌「商工神奈川」(神奈川県中小企業団体中央会) 神奈川県中小企業団体中央会の会員事業所に配布される月刊誌。このトップを飾る「フラッシュ・レポート」というコーナーに掲載。このコーナーは、専門家が"いま"の話題を"簡潔に"解説するというもので、月ごとにテーマが変わるが、今回は3ヶ月で1テーマとなった。 |
| 掲載年月 | 1999年4月号〜6月号 |
| 執筆者 | 石田賢治 |
| 記事の解説 | 当社の業務には中小企業の指導もある。特に中小企業大学校ではインターネット関連の講師をレギュラーで担当している。その時、神奈川県の担当の方とご縁ができ、執筆をすることとなった。 |
| 資料ページ | http://www.nous.co.jp/ishida/kanagawa/ |
| (1) | 身近に検証できるインターネット・マーケティング 〜日本マクドナルドのクーポン戦略〜 | ![]() |
| (2) | 身近になった新コミュニケーション・ツール 〜電子メール・インターネット電話〜 | |
| (3) | 変身に注目のコマースサイト 〜ミスミのビジネス戦略〜 |
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〜日本マクドナルドのクーポン戦略〜 |
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「商工神奈川」1999年4月号(No.550)掲載
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●自分で検証できる「何故?」の紹介 インターネットなどの情報技術を活用しなければ、ビジネスにならない時代の到来。こうしたマスコミやメーカーの掛け声は耳に残るが、具体的に「何故?」導入や活用をしなければならないかがわからない人、そうした上司や顧客の「何故?」を十分説明しきれず、歯がゆい思いをしている人は多数いると思う。 そこで3回にわたり事例を挙げ、そうした人々の「何故?」を解明したい。初回のテーマにするのはマーケティング。もっとも大上段に構え、知らない企業やサービスを紹介しても意味はない。ここでは私自身が平素マーケティングの上手な企業としてマークし、皆さんもよく利用するから自分の目でそのうまさを検証できる会社を紹介する。 ●今、注目すべきはマックのクーポン それは「日本マクドナルド(以下マックと略す)」である。ここは、いち早くPOSレジを導入し、リアルタイムに店舗売上を本部が把握したり、店舗の材料発注を効率化したりと、情報活用の先駆的企業だ。マーケティングも多くのツールを使い、綿密かつ確実なデータを収集、活用している。その中で最近注力しているのがインターネット。中でも、クーポンの活用はインターネットを実にうまく使った例として注目している。 クーポン発行ページに行くと、デザートサービスやシェイクがもう1点付いてくるクーポンなど、バリエーションが紹介される。その中からユーザーは好みのものにチェックを入れ、必要数を入力すると、画像として表示され、それを印刷して店に持参すればサービスを受けられる。これだけでも通常のクーポン同様、集客ツールとして効果がある。 ●ユーザーの動向管理の妙味 しかし、本当にうまいのは、ユーザー動向をしっかり管理していることにある。インターネットは、いつ、何人が、どういう所から接続してきて、どのようにホームページを閲覧したかをコンピュータの記録に残せる。それを解析すれば、ホームページに来た人の、何人がクーポンページを見て、その内の何人が実際にクーポンを手にしたか、また、どのクーポンが好まれたかが一目瞭然になる。 店のPOSレジの記録と照合すれば、クーポンを手にした人の何割が実際に利用し、その際どの位の買い物をしたかも容易に集計できる。そのデータから、情報メディアとしてインターネットにどの程度の比重を置くべきかを明確にできる。 更にマックは@MCクラブというインターネット会員を集めることで、詳細なパーソナルデータを入手し、データ精度を上げようとも図っている。こうしたデータ解析を突き詰めれば、いわゆるワン・トゥー・ワン・マーケティングが実現できる。自分好みの新商品情報や、行こうかなと思うところに背中を後押しする情報が舞い込めば、行かない人間の方が少ない筈だ。インターネットのすごいところ、そしてマーケティングツールとしての有用性はこうした点なのだ。 情報活用とマーケティングの関係を、マスコミからの装飾的で過激な情報で理解しようとしても、そうそう出来るものではない。それよりも、仕組みを理解した上で、1ユーザーとしてクーポンや@MCクラブをしばし使い込み、どういうサービスや情報が提供されたかを定点観察した方が簡単に理解できる。そうした意味からも、まずホームページを見てほしい。 この仕組みをすぐに真似ろとは言わない。しかし、マックのように使用するツールで何ができるかを十分に分析し、最大の成果を得られる組み合わせが大切である点は、十分認識してほしい。それが後々で自社の情報戦略を立案する際に役立つ筈だ。 ■関連サイト
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〜電子メール・インターネット電話〜 |
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「商工神奈川」1999年5月号(No.551)掲載
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●何故普及した?電子メール 情報技術を「何故?」活用しなければならないのかを、今回はコミュニケーション・ツールをテーマに解説したい。今、中核的なそれといえば電子メールであろう。ここにきて急速に普及したが、その裏側には何があるのだろうか。 以前は郵便・電話・ファクスが御三家的な存在であった。郵便の登場で距離の壁を超え、電話やファクスは加えて時間の壁も超えた、つまりリアルタイムでのコミュニケーションが実現した。 大昔は対面が主で範囲も近隣に限られた小さなコミュニケーションしか無かったのだから、これらの登場はビジネスや生活を大きく変えるだけのパワーを持っていた。 ●電子メールの変革点はコスト では、電子メールはどういうパワーを持つのか。それは御三家をもってしても変えられなかった点"コスト"である。 大昔は広範囲かつ新鮮な情報を握っていたのは財力が潤沢な国家や土地の権力者だった。それが御三家の登場で市民にも建前上はそれが可能になった。しかし遠方になればなるほど、またリアルタイムを追求したり情報量が多くなればなるほど確実にコストがかかる点は変えられなかった。これでは自由な情報のやりとりができるのは国家や大企業の中枢に限られ、情報ピラミッドの存在自体は何ら変わらない。 これを打破したのが電子メールを核とするインターネット等だ。電子メールは基本的に近所でも地球の裏側に送っても料金は変わらない。それも地球の裏側でも、ほぼ瞬時に情報が届く。またメールを何千、何万と出しても、御三家に比べると料金負担はウソのように軽い。これを革命と称しても決して過言ではあるまい。 それに加え情報の再利用度、つまり加工性の高さも大きな変革点だ。御三家では受け取ったものを別用途に利用するには、書き写しなど同じデータの複数回入力が必要だ。これでは作業効率は悪いし、内容が変わったり、ミス入力の恐れもある。最初からデジタルで入力し、ネットワークに流して使い廻せば作業効率は飛躍的に高められる。これが昨今商取引をEDI(電子データ交換)で行おうという所以なのだ。そしてこれも結局はコスト圧縮に繋がる。 利益を上げるには今のご時勢、売上アップよりコスト圧縮の方が実現しやすい。これが昨今のメール普及の要因なのだ。 ●新たなツールインターネット電話 そして最近 "インターネット電話"という新顔が静かに普及し始めている。これは音声もデータとしてインターネット等で流してしまおうというものだ。この技術を使えば国際電話などの遠距離通話コストを大幅圧縮できる。また、本社と支社・工場などの接続に音声、データ用別々に接続しているのを一本化してコストを圧縮したり、内線電話の無かったオフィスのLANを内線の代用にするなど利用方法は様々。これらは既にビジネスとして成立している。 身近な例では、インターネット環境さえ揃うなら、追加投資0でインターネット電話を体験できる。ソフトが無料配布されているからだ。特に有名なのはマイクロソフト社の"NetMeeting"というInternet Explorerのおまけソフトだ。これを使えば通話は勿論、カメラを付ければテレビ電話すらできる。 ただ、一般回線ではまだ声や画像の質が悪いため、本格普及はもうしばらく先だろう。しかし通信インフラ整備は急速に進展しているし、ソフトも無料な点を考えると、一度は近未来コミュニケーションを体験する価値は大きい。 最新の情報技術はコミュニケーション・ツールのコストの壁を突き崩し、情報の階層をフラットにした。このチャンスを活かせるか否かはあなた次第なのだ。 |
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〜ミスミのビジネス戦略〜 |
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「商工神奈川」1999年6月号(No.552)掲載
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●今、注目はオークション 情報技術を「何故?」活用しなければならないのかの解説も今回のコマース、商業のテーマが最終回である。 株の売買や、本やCD販売などネットを利用した商業形態は色々あるが、そうした中で今、急速に伸びてきているジャンルがオークションだ。 現在オリコやヤフー(米国)などが積極的に展開し、新サイトの立ち上げも目立つ。米国では既にその売上が数千億円にものぼるというから驚きだ。 ヒットの要因には同じものなら少しでも安く買いたいという消費者心理が働いている。こう思うのは企業も同じで、扱う商材を入手するためのコンペをインターネットで試みた企業がある。 ●ミスミ成功の要因 東証1部の商社ミスミがそれだ。ここのビジネススタイルはとても変わっている。まず商社なのに営業マンがいない。その代りを70万冊も発行されるカタログが担う。 同社の主力商品はプレス金型部品など従来は注文設計生産が殆どのものだ。そこで同社は商品の仕様や規格の標準化を進めてカタログ注文を可能にし、同時に生産・流通過程の大幅な合理化にも成功した。そのため社員数は230名ながら(99.4現在)売上380億円、経常利益は43億円で5期連続最高益という業績をあげている。 メイン顧客の製造業者のネット化が遅れたため現状の受注形態の主力はファクスだが、ここに来て急速にネットを使ったEDI(電子データ交換)も伸びてきたという。 ここで注目したいのが、ミスミの取引形態が今まさにカタログやファクスの紙ベースからネットワークベースに進化の最中である点だ。この点や決済方法の変化をしっかり定点観測すれば、自社の商業形態を今後どう変えれば良いかの重要なヒントを得ることができる。 ●持たざる経営でも持たねばならないもの ミスミは顧客ニーズを原点にビジネス展開をする「マーケットアウト・ビジネス」を標榜している。 これを実現し、稼動状態や効率に左右されず顧客ニーズに柔軟に対応するため、ミスミは生産設備を持たない。それだけでなく組織も大幅に絞り込まれ、何と人事部や情報システム部までをもアウトソーシングしている。これが同社の経営ポリシーのもう1つの特徴「持たざる経営」だ。 それが納期遵守率99.94%という数値や、ユーザーのリクエストがまとまれば必ず製品化するなど他社に真似できない付加価値になる。そしてそこには情報システムが大きく役立っている。つまり「持たざる経営」であっても「情報」は不可欠なのだ。 ●オープンにするなら徹底的に 同社は更に情報はガラス張りにという「オープンポリシー」を持つ。そのためホームページには月次の販売目標と実績が、カタログにも納期、諸条件などの詳細情報までが明記されユーザーの信頼を得ている。 また、購入価格や数量などの取引条件を明示し、それに応じられればどこの企業とでも契約するオープンコンペティション制も同社は採用している。これは提示条件に満足するなら誰でも参加できる冒頭のオークションに似ている。 かつてはこのコンペをインターネットで行っていた。製品の仕入れ値などの契約条件など全てオープンにし、世界中からパートナーを募ったのだ。当時はその大胆さに他社は度肝を抜かれた。 ただ時期尚早でレスポンスが良くなく、その試みは現在は一時休止している。だが、ここにきて中小企業にまでネット化が進展してきたので再開の声も出始めているとのことだ。これも新規取引法を見出す意味から注目だ。 ●商売の新しい橋渡し役 これまでは売りたい、買いたいという両者を結びつけるために多額のコストを要する営業マンの雇用や広告が必要だった。しかし今後この役割にネットワークが加わるのは、冒頭のオークションの例からも明らかである。 あなたの製品を求める人が情報発信しているかも、逆にこうした製品を買いたい、買いませんかと意思表示をすれば反応があるかもしれないのだ。ターゲットは世界中、コストも驚くほど安く、これからは決済もネット上で行える。こうした点を読み取り、御社での情報技術の導入・活用のきっかけと本稿がなったなら幸いである。 ■関連サイト
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