情報セキュリティ・マネジメント入門

著者/出版社 田中克政 / 日本経済新聞社
本体価格 2,200円+税
評者 井上 きよみ(学生アルバイト)


2000年1月23日
書籍表紙
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数年のうちに驚くほど進歩したコンピュータ技術と通信ネットワーク。これらの技術は私たちの生活やビジネスに、いろいろな便宜を与えてくれます。が、裏を返せば、その便宜を悪い方に活用することで、今まででは考えられなかった犯罪が可能になりました。それも一部の専門知識を持つ者に限らず、誰でもが「一時の出来心」で犯罪者になってしまうのです。

本書は、コンピュータやネットワークに潜むさまざまなリスクを挙げ、それを防止するための方策を解いています。情報セキュリティについての概要を知りたい人には最適な一冊でしょう。 また、企業のトップおよびマネジメントクラスの人に読んでもらいたい一冊でもあります。

セキュリティはいわば「傘」です。雨が降っても傘があれば、あまり濡れずに済みます。企業でのセキュリティは「置き傘」と同じである言えます。雨を企業にとっての良くない事態だとすると、雨が降る可能性を低くすること、万一雨が降ってもそれを最小限にくい止めることが必要です。

すごく高価な傘を置き傘にする人が少ないのと同様、いかに少ない予算で、必要なセキュリティが確保できるか、つまりリスクから守れるかが大切で、本書でもコストとの関連を強調しています。

どこまでやるかが経営トップの意向により決まるのでしょうが、この中に出てくるセキュリティの様々な方法は、現在においては大企業向きの内容だと感じました。
それでも中小〜零細にとっても十分にためになる内容も含まれています。
例えば、従業員との間に「誓約書」を交わすことです。「不正をしません」という内容の誓約書を会社側で用意し、それに署名捺印してもらうということです。これなら、わずかな手間と費用で済みます。それでも働く側の「意識」にとっては十分な牽制作用が働くはずです。

クラッカーやハッカーから守ることが「情報セキュリティ」であると考えている方も多いのですが、このような方にも本書を読んでもらいたいです。
多くは社内の者による不正です。社内に不正を起こしやすい風土があると、ますますそれは加速され、また、外部からねらわれやすいということにもなります。

モニター付近にパスワードを書いて貼っている人を社内で見かけたことはありませんか?

そういうレベルの改善が最も重要です。セキュリティを強くすることは、それだけ利便性を欠くことにもなります。いかに利用者の利便性を損なわずに、セキュリティを上げるか、お金も必要ですが、その前に知恵を出し合うことが必要だなあ、とあらためて感じました。

最近、筆者の田中氏とは友人であることから、先日会った時に執筆のことを聞いてみました。日本経済新聞社という縛りもあったし、実際には本になった1.5倍程度の原稿を書いたので、大変だったとか。お疲れさまです。

この頃の日経BP誌のいくつかの書評コーナーでも見かけましたし、注目の一冊であることは間違いありません。



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